何者にも予想できない形で訪れた、「万能なる科学の時代」の終焉。
七体の異質な存在の出現。
降臨した七存在は、圧倒的な破壊能力により、瞬く間に世界を灰燼と化した。
全人口の99%以上が失われ、遺された一握りの人類達は、長い冬の時代を生きることとなる。
偉大な先人達が興した万能の業<科学>は、もはや、過去のものでしかない。
七存在を避け、世界の片隅で生きることを余儀なくされた人類。
しかし、その中から、新しい存在「異能者」が発生する。
それは、科学を捨て、新たな存在に接したことにより顕在化した、「人の新しい形態」だった。
彼らが異能の者たる証「魔導」は、人類にとって希望の光になると思われた。
力を得た人類は、僅かずつではあるが、七存在に対抗するようになっていく。
しかし、同時に、人類自身の中からも、人に敵対する存在が現れるようになる。
魔導の力に飲まれ、人の姿、理性を維持出来なくなった彼らは「魔族」と呼ばれた。
人は、七存在と魔族の双方から、自身の世界を勝ち取らなくてはならなかった。
そんな折、あらゆるものを無に還す「死蝕」の力を持つ魔族が出現する。
異能者達による決死の戦いで彼の者は滅び去るが、それまでに広大な土地が不毛の大地へと変わった。
これを契機に、異能者達は対魔族・対七存在のための組織を興す。
後に、それは治安維持組織「法院」となる。
法院は勢力を拡大し、全世界的な治安維持組織へと発展した。
以来、人は世界の覇権を取り戻すべく、一進一退を続けている。
同時に、「死蝕」を駆る魔族も、姿を変え、形を変えながら、数度に渡って現れている。
彼の者との戦いは「封魔戦役」と呼ばれ、その都度、多大な犠牲が払われた。
そのため、法院によって「死蝕」は禁忌の力とされている。
第六次を数えた封魔戦役が終結した。
そして、十年という束の間の、静寂の歳月が流れ―――
赤。
一面の赤。
目眩くほどに染め上げられたこの世界で。
――― 咎人は、邂逅する。